精神異常の犯罪者だけを収容した施設がある孤島。その島には、その施設以外は何もない。いわばこの島は、「治療」、「精神異常犯罪者にも生きがいを」といった名目で、世間から隔離された施設と島というわけだ。
そんな施設からある日、一人の女が脱走した。島中で捜索にあたったが、姿が見つからない。女は、凶悪殺人者である。自分の子ども3人を湖に沈め、殺したのだ。ひとりひとり、頭を押さえつけ、溺死させたという悲惨な事件だった。その女は施設が昔住んでいた家だと疑わず、子どもも生きていると信じている。要するに、妄想にもとらわれているのだ。
そんな女が脱走したとあって、連邦保安官のテディが島に捜査に訪れる。
テディは捜査を進めていくうちに、島全体に蔓延る不穏な雰囲気、施設の職員や収容患者とのやり取りの中で生じる違和感などを感じ始めていく。
この島の捜査はどんな、結末を迎えるのか─というストーリーである。
ところでこの物語では、テディ自身が抱えている問題も大きく関わってくる。
テディは過去に妻を亡くしている。当時住んでいたアパートの火事が原因だった。妻を救えなかった後悔や悲しみが残っているテディは、今もその悪夢をたびたび見る。
テディは、島に来てからその悪夢をさらに頻繁に見るようになる。次第に、悪夢と現実との境目が曖昧になっていく。これが見どころの1つだ。
以下ネタバレ↓
ラストシーン
アンドリューがこう発言する。「ここにいると時々考えるんだ、モンスターとして生きるか善人として死ぬか」
己の過去の出来事すべてを思い出し、現実を受け入れたアンドリュー。
子供を殺した妻を殺した自分を認めたからこそ、
その罪を背負って島の外(現実)で生きることは選ばず、
この島でロボトミー手術(記憶を消す)を受けることを選んだということだろう。
アンドリューは過去の辛い記憶を自分の頭の中から消したかったのだと考えられる。
正気を取り戻した自分だったが、あえてまた虚言を言えば、医者は「また元の妄想の世界に戻ってしまった、だめだ」と判断し、自分に最終手段である手術を施すだろうと分かっていた。
それを望んだアンドリューは、わざと虚言を言い、医者にやっぱりダメだ、と判断させた。つまり、最後のシーンは演技だったのだ。
「モンスターとして生きるか、善人として死ぬか」という言葉に違和感を持った医者は、「テディ(妄想の中のアンドリューの名前)」を呼ぶが、アンドリューは正気を取り戻しており、自分はテディではないとわかっているため、振り返らなかった。
このラストシーン、すごく良かった。映画のラストって、「え、これで終わり?」って拍子抜けしてしまうパターンがわりと多いけど、この映画の、観た人に最後に考えさせるラストシーンがすごく良かった。満足感あった。
シャッターアイランド。おすすめの映画の1つになった。
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